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 乳酸菌入りのヨーグルトや飲料を摂るとインフルエンザや風邪の予防になる、と聞いたことのある人は多いでしょう。これは免疫力アップにつながるNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化するからです。NK細胞の活性が高いと、インフルエンザや風邪にかかりにくく、かかったとしても軽症ですむことがわかっています。

 このことは動物実験でも実証されています。インフルエンザにかかった老齢のマウスに、ヤクルトに含まれる乳酸菌ラクチカゼイバチルス パラカゼイ シロタ株(旧名称:ラクトバチルス カゼイ シロタ株)を入れたエサを4ヶ月間与えたところ、NK細胞の活性が上がり、体内のインフルエンザウイルスの量が減ったのです。ところが、この乳酸菌を与えなかったマウスはNK細胞の活性が下がり、体内のインフルエンザウイルスが大量に増殖しました。

 このほか、2001年に発表された論文「ラクトバチルス カゼイ シロタ株のマウスへの経鼻投与がインフルエンザウイルスの上気道感染に及ぼす影響」は、アメリカ細菌学会の雑誌「Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology」に掲載され、その月のベストペーパー賞を受賞し、注目されました。

 大阪大学医学部や順天堂大学医学部の研究でも、ヤクルトを飲むとNK細胞が活性化し、免疫力がアップすることが認められています。最近ではR-1乳酸菌の入ったヨーグルトや飲料もインフルエンザ予防に効果があるとして注目されました。このほか、NK細胞はがん化した細胞を殺してくれるため、NK細胞を活性化してくれる乳酸菌を含む食品はがんの予防にもなり得る、といわれています。

日本では乳酸菌を含む食品で「特定保健用食品(トクホ)」として認められているものがありますが、医学的な効能は謳えません。ところがアメリカでは、がんを予防するサプリメントとして乳酸菌製剤が販売されているのです。

 

 この他、乳酸菌の風邪予防の効果について、フィンランドの保育所でのLGG(ラクトバチルス・ラムノーザスGG)乳酸菌を使った実験もあります。1~6歳の園児たち571人を2つのグループに分け、LGG乳酸菌入り牛乳と、普通の牛乳をそれぞれのグループに30週間飲ませました。その後、2つのグループ間で風邪で欠席した園児たちの日数を比べてみると、LGG乳酸菌入り牛乳を飲んだグループが4.9日だったのに対し、普通の牛乳を飲んだグループは5.8日でした。0.9日の差は、LGG乳酸菌が風邪の予防に効果があったといっていいでしょう。

 このように乳酸菌は腸内環境を改善するとともに、インフルエンザや風邪の予防にも効果があると考えられているのです。

インフルエンザ感染予防にも貢献する乳酸菌

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