大腸ガンの原因を探る実験
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食生活と腸内環境
実年齢は20歳なのに腸年齢が70歳以上に達していた女性は、いつもお菓子やペットボトル飲料で食事をすませており、ご飯類をほとんど摂らないという有様でした。
腸年齢の測定のために提供してもらった便も、2週間も便秘が続いたあとに下剤を使ってやっと出したという筋金入りのもの。通常、人の便は弱酸性を示すものですが、この女性の便はアルカリ性で『肉食動物である私の愛犬より肉食だ!』ということも分かりました。
この女性の例からも分かるように、腸年齢が実年齢以上に老いる最大の原因は、やはり食生活にあります。
食べ物は小腸で消化・吸収され、大腸へと送られます。その間に消化しきれない食べカスなどを、腸内細菌が餌にするので、食べ物は腸内細菌のバランスに大きな影響を与えているのです。
腸内の悪玉菌の大好物は、たんぱく質や脂肪を多く含む食品です。
これらは腸内細菌によって利用され、アミン類や、脂肪を分解するために必要な胆汁酸を分解して発ガンを促進する物質に換えてしまうのです。最近の若い人々の大好物であるハンバーガーなどのファーストフードは悪玉菌が好む典型的な食事といえるでしょう。
一方、善玉菌の好物は食物繊維を豊富に含む野菜、海藻、穀類などです。
食物繊維は腸にとって非常に重要で、不足すると腸内に便が長時間とどまって、悪玉菌の増殖を招くことになるのです。
肉だけを食べ続けると・・
私は30代のころ、1日に1.5キロの牛肉を40日間食べ続ける実験を自ら率先して行いました。
肉食を続けることによって体に明らかな変化が現れました。体臭がどんどんきつくなり、皮膚が脂ぎってきました。
肝心の便にも劇的な変化が認められました。
黄褐色だった便は次第に褐色から黒ずんで、40日目では黒褐色(タールのような)の便が出てきたのです。その臭いはきつく、腐ったような強烈な臭いを発したのでした。そして,腸内細菌は著しく変動し、ビフィズ菌の減少、バクテロイデスの増加が認められたのです。おそらく、そのときの腸年齢は70代に達していたに違いありません。
農林水産省の調査では、1960年における食肉消費量は約3キロ程度でしたが、35年後では14倍以上に増加しているそうです。
穀物、野菜、魚中心の伝統的な食事から、肉食中心の食事への変化は、日本人の腸内環境にも大きな影響を与えているのです。
私が行った肉食実験は極端な例かもしれません。
しかし、野菜をほとんど食べず、インスタント食品やお菓子などの栄養が偏った食生活を過ごす人はたくさんおられるでしょう。腸の老化にストップをかけ、腸年齢を若返らせるために、バランスの良い食生活を送るように心がけましょう。